避雷器の任務
避雷器は、雷又は回路の開閉により発生する過電圧がある値を超えたとき、その過電圧に伴う電流を大地に分流することによって、電力系統の施設、機器の施設、機器の絶縁を過電圧から保護し、かつ続流を短時間のうちに遮断して、系統の正常な状態を荒らす事なく原状に自復する機能をもつ装置である、このような動作責務を遂行中の避雷器端子電圧を制限電圧、流れる電流を放電電流と言う。また続流とは過電圧に伴う電流を分流したのちに、引き続き電力系統から供給されて避雷器に流れる商用周波数成分の電流を言う。
避雷器の定格電圧は、その動作責務を果たし得る商用周波端子電圧許容値の保証限度である。一方避雷器の保護能力はその避雷器の制限電圧、雷インパルス放電開始電圧、開閉インパルス放電開始電圧の値が低いほど高くなる、これらの3種類の電圧値を保護レベルと呼ぶ。
さらに避雷器には、系統の正常時及び異常時の商用周波過電圧に対してこれより低い電圧では放電しない限度を示す商用周波放電開始電圧を持つことが要求される。避雷器の責務
A) 定格電圧
E=αβUm Um=系統最高電圧x1.2/1.1
α =接地係数 非有効接地系で1、有効接地系で0.65
β =裕度 1.1
一般的に非有効接地系で1.27倍、有効接地系で0.84-0.97倍して避雷器定格電圧4.2、8.4、14、28、42、70、84、98、112、126、140、182、196、210、224、266、280、420(kV)の中から選定する。
B) 制限電圧
避雷器の放電中、その端子間に残留するインパルス電圧波高値が制限電圧である。これは放電電流
の波高値及び波形によって異なる為に、JEC-203においては公称放電電流10kA、5kA、2.5kAの三
種類に対してその特性が規定されており、放電電流波形は±8/20μsが適用されている。10kA、5kA避
雷器は発変電所用で2.5kA避雷器は配電線に使用される。
一定極性、一定波形の波高値の異なる雷インパルス電流に対する制限電圧波高値と放電電圧波高
値との関係は制限電圧-放電電流特性と言う。
C) 雷インパルス放電開始電圧
雷インパルス放電開始電圧は、避雷器が雷インパルス即ちサ-ジ電圧に対して放電を開始する電圧
である。JEC-203の形式試験では別表の波高値をもつ正負両極性±1/40μsの雷インパルスを10回加
えて全て放電すれば合格である。
D)V-t曲線
1/40μsの標準波形のインパルス電圧を低い波高値の電圧から順次加えてゆき、波尾でフラッシオ-
バ-した場合はその波高値をとるものとして、絶縁破壊電圧と破壊にいたる時間の関係をV-t曲線と言
う。
E)開閉インパルス放電開始電圧
正負両極性の開閉インパルスにより、100-1000μs以内のV-t曲線をつくりこの曲線の250μsに相当
する放電開始電圧がJEC-203表の値以下であればよい。
F)商用周波放電開始電圧
商用周波放電開始電圧が高い程、続流遮断能力は向上する、しかしこの電圧値は開閉インパルス放
電開始電圧と密接な関係を持っている為に、極端にこれのみを高くすることは不可能である。一般的に
商用周波放電開始電圧は、定格電圧の約1.5倍である。
G)単位動作責務
避雷器は一定の交流電圧が加えられている状態に措いて、さらにインパルス電圧が印加される事の
よって放電電流を流し、かつ続流を遮断して原状に復帰する一連の動作を行なう、この動作を単位動
作責務と言う。
H)開閉サ-ジ動作責務静電容量
10kA避雷器に対してのみ、その保護する系統構成、線路長の応じて定格電圧14kVにおい
て15μF、25μF、50μF、78μFの4種類を定格静電容量として放電耐量を検証し、接続線路の対地容量
を考慮する。
I) 長時間放電耐量
長時間継続の小電流に対する避雷器の放電耐量を検証する為に行なう。継続時間2000μsの方形波
インパルス電流を20回流す、その電流波高値は5kA避雷器に対して150A、2.5kA避雷器に対し
て75Aである。10kA避雷器に対しては開閉サ-ジ動作責務試験を行なうので省略される。
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