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2013年3月13日水曜日

再生エネルギーの動向


再生可能エネルギー

 日本の再生可能エネルギーの開発の関するニュース、記事、論文等は大多数が日本の技術は素晴らしいというという前提で書かれているのが多い。又政府関係から出された報告書も嘘は書いていないが、意図的に報告しないのが多い、特に世界の中の日本の順位というのが、あまり書かれていない。でもデーターを集めようとしたら簡単に手に入る。つまり日本の再生可能エネルギーの記事は良いことは水表面に浮かんでおり、生のデータ-は底に沈んでいるのだ。

 
 日本の再生可能エネルギーの開発は少なくても2000年ころまではあらゆる分野で世界最高水準であった。しかしながら原子力発電単価6円/Wという嘘で塗り固められた単価を目の前にして、将来原発の依存度(2030年まで23基の原発を建設する。)を達成していくという基本政策のため、多くの再生可能エネルギーの開発はコスト高(例えば海洋発電コストが140/W)を理由に開発を止められた。将来のコストを予測できるなどという思い上がった考えはどこから出てきたのだろうか?それは不可能なのだ!開発段階で画期的な方法が開発されコストダウンの飛躍というものはよく起こることだ。また実用化され大量に製作されればコストは想像を超えた下落をするという例はいくらでもある。

 日本の再生可能エネルギーは世界の潮流から完全に取り残されているというのが現実である。技術的には非常に優れたシステムを持ちながら、商業的にはむかないという原子力村の宣伝が功をなし、大変遅れている。悲しいことに東北大震災をきっかけに、ここから嬉しいことに日本の再生可能エネルギー開発は原子力村の呪縛から逃れることができ躍進が始まろうとしていのが現状だ。

風力発電

 日本のような山が多いどこにでも人が住んでいる国では地上風力発電はなじまない。人里近くに建設すれば騒音・低周波音障害が起き、人が住んでいない山に建設すれば、送電線と建設及び保守のための道路が必要となり、自然が豊かなため鳥が多く、「衝突死」、「撹乱」、「生息地の消失」が起き、さらに環境アセスメントの問題があり、発電コストを上げる。当然ながら風力発電に適した場所もあるが大規模に設置できるところはないし、他国のように大々的な風力発電を設置することはできない。日本は海上発電で行くべきところを陸上発電という間違った方法へと原子力村の人達に誘導され、風力発電はコストが高いという烙印を押されてしまった。

 2012年単年における世界の新規導入量4,471kWの内、約30%の1,320kWを新規導入した中国と、約29%1,312kWを導入したアメリカが、引き続き世界1位と2位をキープしている。日本の累積導入量はは261.4kWで、昨年に引き続き世界の13位をキープしたが、僅か3kWの差でオーストラリが14位、2012年に108kW導入したブラジルが11kWの差で15位となっている。また日本の2011年単年導入量は、8.8kWで世界24位と低迷している。
海洋発電

 1998年ころまでは日本は先進国だった。石油代替エネルギーの開発を目指し、浮体式波力発電装置の『マイティホエール』や『海明』など数々の実験を世界に先駆けて成し遂げたが、発電コストが1キロワット時あたり140円ほどかかるとの結論になり開発を止めた。欧州では英国やポルトガルが地道に研究を続け実験装置の発電容量が10年で10倍に大型化(波力で80キロワット級が800キロワット級に)している」

 「欧州は発電コストが10円以下になりうるかどうかという採算性の尺度だけで研究を進めているのではない。エネルギー安全保障の観点からエネルギー源を多様化する一環として海洋エネルギーの実用化を息長く進めている。欧州は北アフリカの砂漠で太陽光や風力発電をして送電する構想を推進しているが、海洋もそれと同じ発想だといえる」

 「日本は海洋エネルギー資源のポテンシャルが大きい離岸距離30キロ、水深100メートル以下の海域で、波力発電は年間870億キロワット時、海洋温度差発電で1560億キロワット時の潜在的な利用可能量が存在する。原子力発電所に換算すると、それぞれ14基、25基分という巨大な電力量になる。この電力量も原子力村の思惑もあり過小評価されているに違いない。

太陽光発電

 太陽光発電容量の伸びは、2012年だけで30GWという「かつてない規模の」拡大により促進されたと、EPIAは説明している。欧州全域で17GW分の設備が増設されたほか、中国で3.5GW、米国で3.2GW、日本で2.5GWなど、過去最大レベルで発電容量が増加した。

 日本と海外諸国の違いは、日本では太陽光発電の既設、新規建設とともに個人住宅が80%を占めて入り、非住宅は20%に過ぎない、一方諸外国は住宅用はドイツ、スペインが10%以下、アメリカでは30%とちょうど日本と逆の傾向を占めている。

 201271日より施工された再生可能エネルギー特別設置法により売電価格が42/Wとなったが、住宅用は余った電気だけしか売れないのに対して、産業用は全量買い取りとなり、圧倒的に産業用が有利になった。では産業界全体が有利かというと毎度のことながら「中小企業を除いて」という決まり文句が入る。(2013年度から住宅用は38/W、比住宅用は36/Wの予定。)
 
下記表は300kW以下の需要家の電気料金であるが需要家によって違う。

 
最大電力
 
最大電力量
 
金額
単価
最小電力量
金額
単価
某工場
57
1,638
10,213
15.55
252,178
25
5,049
171,878
34
某工場
252
1,638
45,264
15.55
1,116,631
25
15,259
650,053
43
某工場
52
1,638
5,202
15.55
166,067
32
3,463
139,026
40
某飲食店
79
1,638
45,600
15.55
838,482
18
29,109
582,047
20
電気商店
160
1,638
52,253
15.55
1,074,614
21
27,987
697,278
25
整形病院
74
1,638
23,430
15.55
485,549
21
16,212
373,309
23
斎場
137
1,638
35,515
15.55
776,664
22
12,660
421,269
33
事務所
80
1,638
18,985
15.55
426,257
22
11,984
317,391
26

 大企業は1012/程度の電力料金である。中小企業は大企業の電気料金の2倍から4倍となっている。だから経団連の米倉会長が東京電力に尻尾を振るのだ。

 何故このように成るのかは、高圧受電を行っている500W未満(中小企業)の需要家は太陽光発電を行っても電力会社に電気を売ってもうけることが出来ないからだ。なぜこのように成るかは国は大企業を地方自治体は中小企業を支援するのが一般的な考えで、国は中小企業の事を考えないのが通説となっている。故に法体系そのものが大企業向けとなっているのだ。

① 高圧受電者に対して原則として6.6Vの連系とし低圧連系を認めていない

② 低圧連系が認められるのは系統に与える影響が極めて小さい、とは発電設備の出力

 容量が契約電力の5%程度以下であること。このことをみなし低圧連系と呼んでいる。

③ 電力会社は系統から見て遅れ85100%を要求してくる。

 これに対して中小企業が太陽光を設置しない理由としては下記の理由がある。

① に対しては10W位の太陽光発電を設置して電力会社に売ろうとしても売電メー

 ターが動かない。(電流が微小のためメーターが検出できない、多分50W以上なけ

 れば有効ではないだろう。)

② に関して損失がなく全量電気を売れる低圧連係にしようとしても、中小企業の平均

 的な契約受電容量から考えて、100W5%つまり5W程度の住宅用の太陽光発

 電に毛の生えた設備しか設置できないのだ。5%は系統に与える影響が極めて小さい

 というのは言い訳で損失を電力会社が被りたくないというのが本音であろう。

③ 新たな設備投資が必要だ。

④ 中小企業の電気代は非常に高いからメリットがない。

 2011年度までの太陽光設置量は491万kW2012年度見込みで209万kW2012年度中には700万kWに達する予定だ。これは原発1100万kWとして700×12%(連続稼働換算12%として)=84万kWと約原発1基分となる。

地熱発電

 1990年代に入ってからの、石油価格の安定化あるいは、国のエネルギー政策が原子力発電に傾斜したこと、さらには地熱発電に対する消極的政策(新エネルギーの枠から外れたり、再生可能エネルギー導入のための優遇策であるRPSの対象からも外れたこと、さらには、調査研究開発費が大幅に削減されたことなど)の中で、わが国の地熱発電は研究段階では一定の進展はしたが、1990年代の半ば以降、長い足踏みの時代を迎えざるを得なかった。1999年以来人気案件は途絶えていた。20128月年現在、総設備出力はほとんど変わらず、世界の地熱発電設備量ランキングも、インドネシア、ニュージーランド、アイスランドにも抜かれ、世界第8位に転落してしまった。 

 但し地熱発電の発電プラントの全世界における実績は7割を日本のメーカが抑えており、いつでもGoが掛かれば施工可能なのだ。水蒸気には多くの腐敗ガスを含み、これに対するタービンの形状が企業秘密なのだそうだ。ただ地元温泉業者への法律的配慮が必要であろう。

地熱ヒートポンプ

 日本を除く世界で拡大しているのは地熱発電のみでなく、空調目的を中心とした地中熱の直接利用も大きな伸びを見せている。従来からある暖房や農業用利用も微増しているものの、最大の伸びは地中熱ヒートポンプであり、これに温浴が続いている。地中熱ヒートポンプとは、年間を通して一定である地中の温度を利用して冷房及び暖房を行うシステムであり、欧米や中国を中心に過去10年で利用が急拡大している。

 地熱直接利用容量の国際比較では、日本は地熱発電より2つ順位を上げた第6位となっている。ただ、他の先進国の用途がヒートポンプや暖房など空調利用で9割以上を占める一方、日本での冷暖房利用は5%で温浴が86%を占めるという特異な利用形態になっている。これは日本人がいかに温泉好きかを物語るものである。過去数年で飛躍的に拡大する地中熱ヒートポンプに限れば、日本での利用は図の通りアメリカの273分の1、中国の118分の1となっている。(ただしデータ-2010年度)

小勢力水力発電

 日本は至る所で水が流れており2mから3mの高低差で発電できるクロスフロータイプの水力発電が出てきたが、相変わらず規制緩和が必要で国土交通省は再生可能エネルギーである小水力発電の導入を加速するため、規制を緩和する。農業用水路に発電所をつくる場合、国や都道府県からの許可を不要にし、登録だけで済むようにする。設置までの事務手続きにかかる期間をいまの平均5カ月から1カ月程度に短くすることで開発を促そうとしている。日本には、水の落差を利用して中小規 模の水力発電を行える場所は多い。環境省の調 査によると、全国の河川部で原発14基分に相当する開発余地があるという。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、出力3万キロワット(kw)以下の中小水力が対象となり、全国で発電所を建設する構想が動き始めている。

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