酸化亜鉛型避雷器
酸化亜鉛(ZnO)素子を使用した避雷器は、従来のものに比べて優れた非直線抵抗特性をもつなど画期的なもので避雷器の主流となっている。
原料の酸化亜鉛に数種類の微量添加物(酸化ビスマスなど)を混合したものを用途の応じたサイズに成型して、高温で焼結させたセラミックスである。微細構造は酸化亜鉛の結晶粒子とそれを取り囲む高抵抗の粒界層からなる微笑バリスタが直列、並列につながった複合構造になっている。その為酸化亜鉛結晶粒子径が同一であれば、バリスタ電圧は厚みに比例し、サ-ジ耐量は面積に比例する。単一の形としては薄い円筒型をしており、これを積み重ねれば耐電圧が増える、従ってギャップレスである。
酸化亜鉛素子は通常の抵抗体に比べて非常に大きな非直線性の電圧-電流特性をもつ為、印加電圧が微小な領域では絶縁体として、雷サ-ジのような電圧が大きい領域では導体として働く。
避雷器は火花ギャップ型、ギャップ抵抗型(1900年代)、弁型、弁抵抗型(1910-1920年代)、磁気吹消型、(1930年代)限流型(1950年代)、酸化亜鉛型(1970年代)と進化してきたが、現在のところ酸化亜鉛型避雷器は最も性能がよく実績もあるので、施工に関しては必ず使用するべきである。
A) 酸化亜鉛型避雷器の特徴
1)応答特性が良い:従来型避雷器は直列ギャップの放電により動作を開始する為、急峻な波頭の侵入電圧に対してはV-t特性による動作遅れがある。酸化亜鉛型避雷器は直列ギャップが無い為、侵入電圧に対して速やかに応答する。急峻波電圧に対しても放電遅れを考える必要はなく、 電流応答特性を考えるだけで良いから単純な動作となる。
2)動作責務特性に対する耐量に優れている:酸化亜鉛避雷器は外雷を対象とした責務(普通動作責務試験)では続流が流れない為、多重雷撃や開閉サ-ジが連続して発生するものに対する耐量に優れている。
3)耐汚損性能が良い:碍子型酸化亜鉛型避雷器では、碍管表面汚損時に従来型避雷器で起こった直列ギャップの分担電圧変動と言う現象が無い為、耐汚損性能が大きく向上する。従来型では実施上種種の問題があった活線洗浄も,酸化亜鉛型ではほとんど問題にならい。
B) 酸化亜鉛型避雷器のV-I特性
1)領域(Ⅰ):電流が電圧の0.5乗に比例するショットキ-効果が支配的な領域。
2)領域(Ⅱ):電流が電圧のα乗に比例する境界層におけるトンネル効果が支配的な領域。
3)領域(Ⅲ):電流が電圧に比例しZnO粒子の固定抵抗が支配的な領域。
C)従来の素子と比べて酸化亜鉛型避雷器の性能比較
1)電圧―電流特性が平坦率で10%改善
2)0.85程度の高課電率で使用可能
3)エネルギ-耐量で40-50%向上。
4)非直線に優れている為、制限電圧を低くできる。
5)多重雷撃や長波尾雷に対して処理能力が優れている。
6)急峻波に対する応答が速い。
7)ギャップレスにでき、ギャップレスの場合耐汚損特性に優れている。
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